コアラの生い立ちは人類の営みと深い繋がりがあります。
彼らの今の危機的状況は、人類によりもたらされた弊害とも言えるのです。
コアラの置かれた現状
コアラと言えば、お茶の間のテレビでその可愛らしい仕草が放映されたり、オーストラリアの観光名物として観光客からも愛されるなど、誰もが知っている人気動物です。
しかしそのコアラが、実は絶滅の危機に陥っているという事実はまだ余り知られていないのが現状です。
ここではコアラの歴史を紐解いて、その原因を述べていきたいと思います。
人類の営みによるコアラの衰退
かつてはコアラの生息圏はオーストラリアだけでなく、広く世界各地に分布していましたが、その捕獲され易い性質上、多くの肉食動物の標的とされ、ついには天敵の存在しないオーストラリアのみがその生息圏となりました。
人類が入植するまでは、その地で大繁殖していたのです。
しかし、イギリスによる入植活動が始まってから、コアラを取り巻く環境は一変します。
現地の人々が商業目的でコアラの毛皮を乱獲する様になったのです。
また娯楽目的でコアラ撃ちも行われました。
当時はまだ法律も定められておらず、野放図に蛮行が繰り広げられた為、1930年代頃にはその個体数が激減しました。
さらにペットとして飼っていた犬が野犬化して、コアラの天敵として度々コアラを襲い、その危機に追い打ちを掛けるに至っています。
また現在では、地球温暖化による環境の変化や人類による都市開発の影響で、コアラの生息圏が次第に限定されている状態です。
現在の保護政策は有名無実
こうした状況を危惧してか、近年ではコアラを保護する動きも出てきています。
ただ、その保護政策は州政府の裁量に委ねられていて、国全体の統一的かつ強制的な保護法が存在する訳ではありません。
そしてコアラの生息地のほとんどが私有地であり、州政府もコアラの保護対策を各々の地主の裁量に委ねていて、結局、何ら有効な対策が講じられているとは言い難いのです。
まとめ
どの国でもそうなのですが、現状を打開しようとする動きに対して、国はいつも及び腰となります。
コアラの保護に対してオーストラリア政府もその例外ではありません。
しかし、こうした国政府の重い腰を動かすべく、コアラを絶滅危惧種に指定して強力にその保護政策を推進すべきとの声も強まってきています。
オーストラリアのシンボルとも言うべきコアラの可愛らしい仕草をこれからも拝める様にする為には、国の枠を越えて協調的にその保護活動を展開していく必要があるのかも知れません。